癒やしのフリーランド

ひとこま写真と日常の随感

御盆の墓参り


  御盆の墓参り

 御盆に自家の墓参りに出かけた
 シキビを買おうと店に立ち寄ったが
 売り切れてどこにもない
 仕方がない
 コウヤマキと小菊を買っていく

 御盆は毎年こんな調子である
 台風が来るなんて予想もしていなかったのに
 朝からずっと ひどい雨だ
 車で待っていても止みそうにない
 ままよ 傘のまま花を活け替えて合掌をする
 実家のほうもお参りをしておく

 山道を登ったわけではないが 
 焼香をしながら考えた
 墓参はいったい何のためにするのかと
 墓の中に御先祖さんは いるのかと
 この人はどんなひとで
 どんな生活を送ってきたのだろうか
 今の自分と変わることはないだろうと
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 人はいつまで経っても同じ心の繰り返しだ
 高田敏子の「おくり火」という詩を思い出した
 〈お墓の下にはね 花の咲く小道がつづいていて〉
 たぶん 御先祖さんは墓の中にはいないのだ
 墓の向こうにいるのだろう

 その向こうとは
 手を合わせる人の心の中で
 その薄暗い部屋の世界に 
 御先祖さんたちは眠っている
 まるで石仏のように穏やかな表情をして
 きっと こちらに微笑みかけながら
 心配しなくていいよと
 私たちを見守ってくれているのだろう



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