年賀状 - 癒やしのフリーランド

　　年賀状

　ことしも年賀状を準備した。とはいっても、枚数にするとほんの僅かだ。年賀状の数は歳と共に減ってくる。以前と比べたら７割ぐらいになってしまった。物故した人も多いし、遠方へ転居したあとから疎遠になった人もいる。ほかに、喪中欠礼の葉書も来る。

　そうかといえば、反対に離れていても、いつまでも関係が続いている人もいる。

　会社勤めをしていた以前には、職場関係や商店、遠い親戚まで、義理の葉書も何枚かは混じっていたが、今はそんな葉書はほとんど出していないし、向こうからも来ない。その分枚数は減ったが、書くのは楽になった。知った人ばかりだから肩肘を張らなくても済む。

　それに書くといっても、昔のように版木を彫ったり、筆書きや手書きで書くことはしない。ワープロで作り、みなプリンターが勝手にしてくれる。宛名にしても楽ものだ。ただ、その中で心のこもったどういう賀状を作るのか、そのアイデアが多少頭を悩ますものでもあり、小さな愉しみでもある。

　それから、相手に合わせて少しだけ言葉を書き添える。これはどうでもいいようだが、相手が受け取ったときに印象がかなり違う。印刷だけの文面と比べると、一年間ご無沙汰をした相手に対して、手作りの賀状のような温かい気持ちのつながりを与えるものである。

　最近のように電子メールによる年賀もいいのだが、紙面のものは､また温かみが違うようだ。メールは開かないとブラック・ボックスに入ったままだが、紙面のものはいつでも目の前に残っている。色彩もカラフルで、図案も作成者によりバラエティーに富んでいて、今年はこんなのかと愉しみも広がる。来年の参考にもなる。

　第一、正月に賀状が１枚も届かないなんて、さびしいかぎりではないか。

　師走の多忙の中で時間を要するかもしれないが、「忙中自ら閑あり」との言葉もある。一年一度の年賀状ぐらいは、面倒がらずに出したいものだ。