癒やしのフリーランド

ひとこま写真と日常の随感

ホトケノザ(三階草)

 
  ホトケノザ(三階草)
 

f:id:verdawings:20200409222855j:plain

 春の道端の草むらの中にふつうに頭を出して咲いている。シソ科の植物で、葉が蓮華座のようだからホトケノザと呼ばれている。ほかにも、葉が3層になっているからサンガイグサともいうらしい。レンゲソウのような色の可憐な花が付いている。春の七草ホトケノザとは別種で、七草はキク科のコオニタビラコタンポポのように拡がった葉から茎を伸ばして黄色い花を付ける

 そういえば、子どもの頃は春の野原に雑草がいっぱい咲いていた。小川が流れて池があって、そのあたりにスミレ、タンポポレンゲソウホトケノザカラスノエンドウなどが混じり合って咲いていた。歌にある「春の小川」そのものの風景が拡がって、川にもドジョウやフナやメダカがいっぱいいた。あちこちに桃の花が明るく咲いて、空は澄み切って、今はあまり見かけなくなった早春の夢のような景色。うそのようだが、昔はほんとに、あんな世界もあったんだ。

 子どもの眼にはことさら、そんな風に見えたのかもしれないが、まぎれもない現実の風景だった。

 大人になって年齢を重ね、社会も発展したので、生活や物資は比較にならないほど豊かになったが、そのような風景は逆に失われてしまった。どちらがよいのか自分には判らない。ただ、取り戻せないが…ひどく懐かしく感じられるのである。